分析的観察研究

分析的疫学研究

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観察研究のデザイン

臨床研究にはさまざまな分類があります。

しばしば「研究デザイン」という言葉を耳にすると思います。たとえばコホート研究、症例対照研究などは有名です。その他に、観察研究、横断研究、介入研究、後ろ向き研究、RCT、症例報告などいろいろな用語がありますね。混同されていることも多いです。すこし整理してみたいと思います。

第一に、研究者が介入をコントロールできるか・できないか、によって「介入研究」「観察研究」に分けます。ここは問題ないでしょう。

分析的疫学研究

  • 介入研究:研究者が介入をコントロールできる
  • 観察研究:介入をコントロールできない

介入研究の場合には、介入の割り付けがランダムか、ランダムではないかによって 「ランダム化比較試験」と「非ランダム化比較試験」 に分かれます。ここも大きな問題は無いでしょう。

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問題はここからです。観察研究の場合には、比較対照があるか、ないかによって、分析的研究記述的研究 に分かれます

この観察研究のデザイン型を良く知ることが、若手外科医の論文執筆への近道と言えるでしょう。

観察研究のデザイン「型」を知る

測定のタイミングによって横断研究と縦断研究に分かれます。縦断研究には有名な、コホート研究と症例対照研究があります。というのが一般的な解説ですが、意外に簡単ではないのです。

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よくある疫学研究の講義になると、RCT、コホート研究、症例対照研究の3つに焦点が当てられ、その手法の長所や短所について学ぶことはあります。しかし、若手臨床医のレベルではそのようなオーソドックスな講義は役に立たないのではないでしょうか?

例えば皆さんの周りで症例対照研究(ケースコントロール研究)をしている人がいますか?おそらく滅多に見る機会は無いでしょう。症例対照研究など、素人にできる研究デザインではないのです。たまに外科領域の臨床研究で、症例マッチングなどを行って2群間のアウトカムを比較する研究を「症例対照研究」と銘打って論文化しているモノもありますが、おそらくはそのネーミングは誤りかと思います。症例対照研究とは、何かイベントが起った集団を「症例(ケース)」とし、同様にat riskな集団にも関わらずイベントが起らなかった集団を「対照(コントロール)」とし、そのイベントのリスク要因などを解析する研究を指します。たとえば、ある地域の胃癌患者をケースとするならば、同じ地域で同じような背景因子をもつ集団をコントロールとし、その生活習慣や遺伝子などを調査・比較するような研究です。

重要なのは、横断でも縦断でも良いのですが分析的観察研究をしっかり行う力を身につける必要があるということです。

では、縦断研究と横断研究の違いは明確に説明できますか?

たとえば、「ある期間に当院で●●手術を施行された▲▲例における術後合併症の発生リスク因子を解析する研究」。

よく見かける演題ですが、果たしてこのデザインは縦断研究ですか?それとも横断研究ですか?

明確に答えられる外科医は少ないのではないでしょうか?

学会発表の質を高めるために

どんなに素晴らしい術式を開発しようと、どんなに最新鋭のロボット手術をしようと、どんなにたくさんの症例を集積しようと、単アームの結果報告は記述研究(症例報告・症例集積)に分類されます

私たちが世界に通用する臨床研究を行うためには、症例報告から一歩踏み出て、臨床データを分析する力が必要となります。それは後期研修医や10年目前後の若手外科医のレベルでも十分に可能な目標です。大規模な臨床試験など一介の外科医の立場ではすぐに実施できません。臨床研究の手法を身に付けるためには自分で計画して実行しながら学ぶことが最も近道であり、そのためには観察疫学の分析手法を勉強し、外科領域に応用することをお勧めします。

しばしば、後ろ向き研究?そんなのバイアスだらけで意味ないよ。そんなこと今までにさんざんやられているよ、などという意見を耳にすることもあるでしょう。しかし、そういう意見はほとんど無視して構いません

質の高い観察研究は、ときにRCTよりも雄弁に因果関係を語り、そして成果はトップジャーナルに掲載させることも可能です。いくら大きな組織に入ってRCTの雑用を手伝っていても、分析的研究の方法論を学ぶことは出来ません。日本で(それも外科領域で)分析的観察疫学を体系的に学べる場所はかなり限られていますが、このサイトを通じてもセミナーやワークショップなどのお知らせを発信していきたいと思います。

別サイトに自分自身が経験した「分析的疫学研究について」の解説があります。ご興味のある方は、こちらのリンクをご参照ください。

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